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一期一会の2日目の宿

焼山寺を17:00に出て とにかく下らなければ マムシが出るような山の中で泊まらなくてはならないのです

歩く前にアドバイスしてくれた森さんのメモを見ると 二箇所あるらしい

電話をかけるも出ない

三回かけたが出ない、、、

もう一つの宿らしき場所へ電話をかけてみる

出た!

宿をお願いしたいのです と言うと 低いトーンで場所への道案内を話してくれた

もうクタクタだったので 大変喜んだ

早くご飯も食べたいし お風呂にも入りたい 森さんによればご飯は粗食ながら沢山出ると聞いていたので楽しみにしていた

感じとしては民宿を想像していたのだ

言われた通り歩いていると 一台の軽自動車かろあって中を見るといろんなもので溢れてる

すごいなぁーなんて思って通り過ごそうとしたら声がした

「こっちだ!こっち!」

ん?ん?

あたりを見渡すと ものすごい古民家からおじさんが声をかけている、僕に

え?え?ここか!?

まんが日本昔ばなしに出てくるような家

歩いて行くと

道に大葉が植えてあるから踏まないように と注意を促していた

ヨロヨロしながらも大葉を踏まないように 玄関まで行った

近くで見ると素晴らしく古い家だ

中に入ると畳が傾いていたり 沈んだりする楽しい家なのだ

ゴミとは違うのだが棚がないので 平積みになった様々なものがタワーになっていた

疲れているのも忘れるくらい様々な情報が目の前にあるのだ

ご飯の支度をするから まず身体を拭いて来なさい というのでタオルを取り出した

お風呂はどこ?、、

おじさんが言う

今通ってきた道に水が出てるホースがあっただろう?あそこで身体を拭いて来なさい

ん?ん?

見渡すと それはあった

山からの水なので綺麗だと自慢していた

このバケツがあるところが洗面所、風呂のようです

タオルを濡らし身体を拭く、気持ちいい、水が冷たくて 拭いたところから気持ちがいい

頭も濡れタオルで拭く、気持ちがいいのだ

思わず夕焼けにも目をやり ここにいることを楽しんだ

ご飯はどこで作るのかと見ていたら かまど発見!

手作りだと言っていた

ここでは作らないという

コタツの横に火鉢がありその上にカセットコンロがありフライパンがあった

中を覗くとゴーヤチャンプルのような炒め物がすでにあったのだ

僕がここに着くまでに作ったのでしょう

合間にお茶を淹れてくれた

温かくて美味しかった

その時 おじさんが大抵の人はこの家を見て帰ってしまうんだ だけど君はとどまってくれた、ありがとう!と言うのだ

いろんな人が泊まったよ と宿帳を見ると1年前の日付

何だか 夢を見てるみたいな1日に可笑しくなった

疲れているのに何故だろう 可笑しくて笑っていた

疲れすぎて笑ってるのと違う感じ

どうやらお坊さんのようです

檀家とかはいないから無収入のお坊さんだ と笑っていた

今は遺跡の発掘をボランティアでやっているという

ますますわからなくなるが何故か安心できるような不思議な感覚の人

山梨だと言うと 葡萄にほうとうだな と言う

僕はほうとうよりも すいとんの方が好きなんですよ と言うと

今夜はすいとんだ ハハハハと笑っていた

でも 火鉢の上のカセットコンロでの調理に???だった

すいとんはよく食べるのですか?というと

食べない と言ってた

粉は大丈夫か?と 不安になった

そんなことをよそにすいとんをこねている

鍋にすいとんを入れだしの素と醤油で味付け

おじさんはこねたどんぶりに入れていた

僕にすいとんをよそってくれた

もうお腹はぺこぺこなので 急いで口にすいとんを運んだ

これが!美味い!旨いのだ!

五臓六腑に染み渡る温かい食べ物

そしたら 僕に多くよそってくれた 沢山食べろ

ますますまんが日本昔ばなしみたい

思わずしゃべり方も寄せそうになるのだ

おらぁすいとんが食いてぇだ、

とても旨かった!

それからいろんな話をした

おじさんの話や僕の身の上話し

すると 旅人が置いていったというギターを持ってきた

15年前だったかなぁ〜と

弦もなんとか6本ある チューニングもなんとなくして弾き始めた

僕の歌を二三曲

福島の牛の話やカンボジアの話しをしながら歌った

褒めてくれたよ

そういう純粋な気持ちを持ってることを褒めてくれた

そしておじさんの青春時代の歌のリクエスト大会の始まり

まず 戦争を知らない子どもたちを歌った

おじさんも歌った ニコニコして

お酒を飲んでもいいか と言うのだ

気持ち良くなってきた こんな夜は飲みたくなったと言って飲み始めた

往年のフォークソングを2人で歌った 歌った 歌った

するとおじさんもギターを弾きだした

弾けないんだけども持って歌い出した

当時好きだった人に捧げたオリジナルソングを歌い出した

そしてまたリクエスト大会になり

歌った

おじさんが歌わなくなったと思ったら

泣いていた

歌に引き戻されて 思い出して泣いてしまったと言うのだ

そして こんなに賑やかで楽しい夜はないと言って 酒を飲み干しました

それからまた歌った

歌はいいなぁと2人で笑い合いました

出会ってまで2、3時間の事

歌はホント素晴らしい

目の前の景色がもっと優しくなるのだ

次の朝

おじさんは朝食を作ってくれた

直火でこんがり焦げ目をつけたパンに焼いたチキンとトマトをサンドし

スライスしたすだちをさらにサンドして

コーヒーも出て来た

これがまた旨かった

別れ際におじさんが庭になってたすだちを5個か6個カバンに入れてくれた

疲れたらかじれ!疲れが吹き飛ぶぞ と言っていた

すだちが道しるべに見えた朝でした

「思いがあるから縁が生まれる、その縁が君をきっと助けてくれる 頑張って歩きなさい」と言って 送り出してくれました

目の前の景色が素晴らしかった

まだよく覚えています

一期一会

ありがとうございました

さて!行こう!

 

2017.09.13 [ お遍路 ]

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